「10年前のNVIDIAやAmazonみたいな銘柄を、今のうちに見つけたい」。この考え方自体は悪くありません。
ただ、初心者がここでやってしまいがちなのは、“夢の大きさ”だけで選ぶことです。実際の長期投資では、10倍候補を当てにいくこと以上に、すでに事業として伸び始めている会社と、まだテーマ先行の会社を分けて考えることが大切です。
そこで今回は、候補を「高品質な成長株」「高成長株」「大化け候補」の3つに分けて整理します。なお、今回は初心者向けの記事としてまとめるため、暗号資産や値動き要因が複雑な候補、事業よりテーマ性が先行しやすい候補は本編から外しました。
まず結論
いま長期で見るなら、最初に注目したいのは PLTR、SOFI、CRDO です。
この3つは、すでに売上や顧客基盤、財務体力がある程度見えており、「次に伸びるかもしれない」ではなく、もう伸びている最中の成長株として見やすいからです。
その次に、より大きなテーマへ乗る候補として RKLB と TEM。
さらに、当たれば非常に大きいが難易度も高い銘柄として ASTS と IONQ を置くのが、今のところ最もバランスが良いと考えています。
1. 高品質な成長株
PLTR|AIソフトの本命候補
Palantirは、企業や政府のデータを整理し、AIを使って現場の意思決定につなげるソフト会社です。2025年Q4の売上は約14.1億ドルで前年比70%増、米国商用売上は137%増、年末の現金・短期米国債は72億ドルでした。つまり、これは「AI関連だから期待されている銘柄」ではなく、実際に需要が数字として表れているAI成長株です。
初心者にとっての強みは、テーマが分かりやすいことです。AIブームの中でも、Palantirは半導体ではなく企業や政府の“実運用”側にいます。華やかさだけではなく、実際に導入が進んでいることが見えやすいので、長期で追いかけやすい銘柄です。
SOFI|分かりやすさで非常に優秀な金融成長株
SoFiは、借りる、貯める、投資するを一つのアプリにまとめたデジタル金融プラットフォームです。2025年Q4のGAAP売上は10億ドル、調整後EBITDAは約3.2億ドル、会員数は1370万人に達し、GAAP黒字は9四半期連続となりました。数字だけ見ると、すでにかなり“完成度の高い成長株”に入ってきています。
SoFiの良さは、初心者でも事業の中身を理解しやすいことです。
AIや量子のように専門知識が強く求められるわけではなく、「顧客が増えているか」「金融サービスが広がっているか」を見れば追いやすい。長期投資で重要な“理解しやすさ”という意味で、かなり優秀です。
CRDO|AIインフラを支える“つるはし”銘柄
Credo Technologyは、AIデータセンターの中でチップ同士や装置同士を高速につなぐ接続技術を手がける会社です。FY2026 Q3の売上は4.07億ドルで前年比201.5%増、GAAP粗利率は68.5%、現金・短期投資は13億ドルでした。AIブームの中心にいる会社ではありませんが、AI投資が増えるほど必要になる側にいるのが強みです。
NVIDIA本体を当てにいくのが難しいなら、その周辺で不可欠なインフラを握る企業を見る、という考え方があります。Credoはまさにそのタイプです。初心者には少し地味に見えるかもしれませんが、事業の質という意味ではかなり強い候補です。
2. 高成長株
RKLB|宇宙の中では“かなり現実的”な成長株
Rocket Labは、単なるロケット会社というより、打ち上げと宇宙システムをまとめて手がける宇宙インフラ企業として見ると分かりやすいです。2025年通期売上は6.02億ドル、年間21ミッションを100%成功で実施し、受注残は18.5億ドルまで伸びました。一方で、中型ロケットNeutronの初打ち上げ目標はQ4 2026へ後ろ倒しになっています。
宇宙関連は夢先行になりやすい分野ですが、Rocket Labはすでに売上も実績もあります。だからこそ、宇宙という大テーマに乗りつつも、比較的“現実的に見やすい”銘柄です。初心者が宇宙分野を触るなら、最初に見るべきはASTSより先にRKLBだと私は考えます。
TEM|医療AIの有力候補
Tempus AIは、検査、医療データ、AIをつなぐ医療テクノロジー企業です。2025年Q4売上は3.672億ドルで前年比83%増、通期売上は13億ドル、残存契約価値は11億ドル超、ネット売上維持率は126%でした。つまり、売上が伸びているだけでなく、顧客との関係が深くなっていることも数字に出ています。
医療AIは難しく見えますが、Tempusは「医療データを蓄積し、それを検査や創薬支援に活かす会社」と捉えると理解しやすいです。まだ荒さはありますが、長期テーマとしての魅力はかなり大きい銘柄です。
3. 大化け候補
ASTS|夢は大きいが、進捗も見え始めた宇宙通信株
AST SpaceMobileは、普通のスマートフォンをそのまま衛星へ直接つなぐ通信網を目指している会社です。2025年通期売上は7090万ドル、商用パートナーからの契約収入コミットメントは12億ドル超、2026年末までに45〜60機の衛星体制を目標にしています。まだ超大型の成長株というよりは、立ち上がり始めた大テーマ株という位置づけです。
魅力は非常に大きい一方で、初心者にとっては値動きも期待も大きすぎる面があります。なので、主力で持つ銘柄ではなく、小さく持つ夢枠として考えるのが自然です。
IONQ|量子の本命格だが、難易度は高い
IonQは、量子コンピューティング関連の上場企業の中では、商用化と資金力が目立つ存在です。2025年の年間売上は1.30億ドルで前年比202%増、年末の現金・投資は33億ドル、売上の6割超は商用顧客から来ています。量子分野全体はまだ先が長いものの、その中でIonQは最も“事業として形になりつつある”側にいます。
ただし、量子はAIや金融よりはるかに理解難易度が高い分野です。事業の将来像は魅力的でも、初心者が主力にするにはまだ早い。ASTSと同じく、あくまで大化け候補として小さく見るのが無難です。
初心者なら、どう見るのが自然か
長期投資で大事なのは、「全部を同じ熱量で買わないこと」です。
PLTR、SOFI、CRDOのような高品質な成長株を土台にして、RKLBやTEMのような高成長株を上乗せし、ASTSやIONQは少額の夢枠として考える。この順番のほうが、期待値と続けやすさのバランスが取りやすいです。
逆に、大化け候補ばかりを並べると、ニュースや株価に振り回されやすくなります。初心者ほど、「すごそう」より「追いやすい」を重視したほうが、結果として長く残りやすいです。
10点比較表
点数は、直近の事業進捗、財務体力、事業の分かりやすさ、10年単位の伸びしろを踏まえた相対評価です。
| 銘柄 | 分類 | 分かりやすさ | 足元の強さ | 財務体力 | 参入障壁 | 10年余地 | 初心者向け | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| PLTR | 高品質な成長株 | 8 | 9 | 10 | 9 | 8 | 8 | 9 |
| SOFI | 高品質な成長株 | 9 | 8 | 8 | 7 | 8 | 9 | 8 |
| CRDO | 高品質な成長株 | 6 | 10 | 9 | 8 | 8 | 6 | 8 |
| RKLB | 高成長株 | 8 | 8 | 7 | 8 | 9 | 7 | 8 |
| TEM | 高成長株 | 6 | 9 | 7 | 8 | 9 | 6 | 8 |
| ASTS | 大化け候補 | 8 | 7 | 7 | 9 | 10 | 5 | 7 |
| IONQ | 大化け候補 | 5 | 8 | 9 | 7 | 10 | 4 | 7 |
まとめ
今の時点で、初心者が最初に見る順番を3つだけ挙げるなら、私は PLTR、SOFI、RKLB を勧めます。
そこにAIインフラを足すなら CRDO、医療AIまで広げるなら TEM。
そして、夢の大きい候補として ASTS と IONQ を少額で追う、という形が最も自然です。
要するに、「次のNVIDIA」を探すより先に、どの銘柄を主力にし、どの銘柄をオプションとして持つかを決めることが大事です。そこを間違えなければ、長期投資はかなり戦いやすくなります。

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